地域ブランド『焼津鰹節』を取得した静岡県焼津市の焼津鰹節組合のイベントやレシピを紹介するブログです。

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平成23年度「焼津鰹節伝統技術研鑽会(けんさんかい) 切込作業」

2011.06.11

去る6月7日午前8時より静岡県水産技術研究所加工棟にて、技術指導員はじめ役員・青年会員多数参加のもと、23年度の焼津鰹節伝統技術研鑽会切込作業が行われました。近年の鰹節製造はパック入りの削り節や液体だしなどの製品のための原料製造が多く浸透しています。ですから鰹節製造業者の多くは製造工程が機械化により、先人たちが編み出した焼津独自の製造法が失われつつあります。そこで後継者たちに本節製造の技術を体得し、後世に残しておこうという目的で毎年行われているのが研鑚会です。現在、焼津市の指定無形文化財となっています。

今回使用したのは約5.4kgの一本釣り南方冷凍鰹を担当者が吟味して選んだものを90匹使用しました。これを前日容器に入れ解凍しておきました。

当日は技術指導員(講師・マイスター)の指導のもと青年会員が包丁の砥ぎ方から頭落し、三枚卸し、煮熟、水骨抜、修繕、一番火(手火山方式)までの作業工程を行いました。

最初に包丁を研ぐことから始まります。やはり道具を大事にすることも伝統というか職人としての勤めかもしれません。

講師の方々が切り込むのを青年会員がじっくりと観察します。すばらしい包丁さばきに長年の経験がそこにはあります。やはり青年会員とは格が違いました。その後青年会員への指導が始まりました。鰹節組合の青年会員と言っても鰹を実際に包丁で切っている人は少ないです。毎年1回のこの講義にだけ包丁を持つ者もいます。頭ではわかっていてもうまくは切れません。それでも鰹節に関わる仕事に携わっている限りこの知識を持っていることは役に立ちます。

そして昨年と同様、途中小学生の見学がありました。生切り工程や煮熟、骨抜き、乾燥工程の説明を行いながら、最後にその場で削り機で削った削り節を食べて貰い、お土産を提供しました。この子供たちの中に将来伝統を受け継ぐ人が生まれるのでしょうか、期待したいですね。

生切りされた鰹は煮塾釜で煮られます。その後釜から出して骨抜き作業を行いました。水槽の中で行うので水骨抜きといいます。これは機械化が進んでも人の手が必要な作業です。

骨抜きが終わると一度蒸気殺菌して修繕の作業に入ります。修繕は煮た鰹のひび割れや凹凸に生切りで余った鰹のすり身を使って平らにする作業です。本枯節製造ならではの作業でもあります。カビをつけない荒節製造が主たる現在にはあまり行われない作業です。修繕された後は生身を含むすり身を定着させるためにいったん蒸気窯に入れます。

本日最後の仕上げは手火山(てびやま)と言われる設備での乾燥作業を行いました。最近は一気に大量に乾燥させる設備を各社使用しています。今現在、手火山を使用している業者はほんの一部だけです。それでも焼津はクヌギやナラなどの枯れたいい薪を使うので香りは逸品です。今年は手火山のせいろを新調しましたのでせいろが黒いすすがついていなくて真っ白です。

最後に市内業者に委託するためにセイロに並べ終了。その後乾燥作業を行い、表面を削って、カビ付けと天日干しを繰り返し、秋に皇居で行われる新嘗祭のために厳選された鰹本枯節が献上される予定となっています。

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